エッセイー私にとっての親業



私にとっての「親業(ゴードン・メソッド)」は
「メガネ」であり、また、「ゴルフのクラブ」であり、そして「鋤・鍬」です。

・親業はメガネ
親業を学び始めて以来、まるで近眼の私がメガネを得たときのように、いろいろのものが、年々明確に見えるようになってきたと言えます。
それは、相手の気持ちであったり、自分の心理状態であったり、自分の望みや欲求であったり。自分の内側で起こっていることに、次第に自分の意識が届くようになっていきました。
自分で自分の感情をしっかり捉え、整理しつつ、次の言動を選択していく力が大きくなってきたなと感じます。
このことは生きている実感、自分自身の足で人生を歩んでいるという手ごたえを感じることにつながり、生きていくエネルギーをどんどん得ていく、ということにつながりました。それをとても嬉しく感じています。

・親業はゴルフのクラブ?
私はゴルフをしませんが、聞くところによるとゴルフというのは14本以内のクラブを使うそうです。
でも、もしも14本でなく1~2本のクラブでゴルフをするとしたら、たとえタイガー・ウッズであっても、石川遼選手であっても、成績は振るわないでしょうし、上達も望めず、楽しさも減退、となることでしょう。
やはり、クラブは14本、しかも質の良いものを揃えることが必要です。

私たちはもしかすると、数本のクラブ(コミュニケーション・スキル)で日常の人間関係をこなしていると言えないでしょうか?
しかも、効果がないなと感じつつ、使い続けていることも多いようです。
例えば、怒鳴っても言うことをきかない、うまくいかない、と思いつつも怒鳴り続ける。
あるいは相手が心の中で反発しているのを感じながらも、説教し続ける。
また時には、相手を操作するための自分の言葉に嫌悪や罪悪感を持ちつつも、ほめたりなだめたり。

こんな時、数本のコミュニケーション・スキルではなく、14本の良き方法を身につければ、もっとうまく楽しく人間関係を築いていくことができるでしょう。
所で、私たちはコミュニケーション方法をどうやって学んできたのでしょうか。多くは、親や教師といった周りの大人、あるいは子ども同士、更にテレビなどから見よう見まねで学びとってきているのではないでしょうか。
子どもの頃、親から言われて嫌だったはずの言い方を、自分が親になった時に同じように言っているというのが現実でしょう。
ゴードン博士の言う「効果的な」コミュニケーション方法を、現在のところ私たちは学校で学びはしません。残念ながら。
良いコミュニケーション方法を、体験的に学ぶこともあるでしょうが、研究され、効果があると実証された方法を、系統だって学ぶことは、良き人間関係を築く上で、大変有効な方法と言えます。

しかも、ゴードン・メソッドを学ぶことのもう一つの大きな恩恵は、そのコミュニケーション方法を場面に応じて選ぶ力を身につけていくことです。
しかも、その選ぶよりどころを、自分の中に持つやり方であるがゆえに、ゴードン・メソッドを習得していくことは、学ぶ人自身の自立と自由を支えていく結果になるわけです。
ゴルフで例えると、いくら良い道具を持っていても、場面に応じてどのクラブを使うのかを選べなくては宝の持ち腐れになります。
しかも、この場面ではこのクラブを使えばよいというマニュアルはないのです。
同じ場面で同じ状況でも、ゴルファーによって選ぶクラブ、最適な結果をもたらすクラブは同じであるとは限りません。
だとしたら、ゴルファー自身が自分の中にクラブを選ぶよりどころを持ち、最適なクラブを選ぶ力を持つことがゴルフの成功につながると言えます。
コミュニケーションについても同じことが言えます。
私たち一人一人が、相手や場面や自分の状況に応じて、自分の選択で効果のあるコミュニケーション方法を選んで対応していく力を身につけていくことが、私たちの人間関係を充実させ、ま更には、私たち自身の自立と自由な生き方を支えいくものとなります。
いや~、ゴードン・メソッドって本当にす・ご・い!です。
私ずっとトレーニングを続けます。

・親業は鋤・鍬?
親業、ゴードン・メソッドのトレーニングを続けてきて、自分が柔軟になっていくなあと気付かされます。
価値観を洗い直し、広げていくことが、促進され続けていますし、不安や怒り、嫉妬、焦り、恐れ、落ち込みといった辛い心の動きから、次第次第に自由に解き放たれていくように感じます。
私の内にある土壌を、ゴードン・メソッドのトレーニングは鋤や鍬のような役目を担って、やわらかく耕してくれ、豊かな土壌へと作り上げていってくれているようなイメージを持っています。
そうすると、そこに蒔かれた種は、自分の内でより大きく育てていくことができるのではないでしょうか。
私はゴードン・メソッド・トレーニングを受け続けていたからこそ、子連れ留学をするエネルギーを得たと確信をもって言えますし、シュタイナー教育を理解していく上でも、大変力になったと思います。
つまり、内面の畑をゴードン・メソッドで耕しておくことによって、たとえばシュタイナー教育という野菜の苗を、あるいは樹木をそこに植え、より良く育てることが可能になるのではないかと思うのわけです。